はじめての神宮

知る見るわかる伊勢神宮式年遷宮編

式年遷宮って何? わが国最大の
お祭りをわかりやすくご案内します。

神宮へようこそ、
わたしがご案内します

式年遷宮について
よくいただくご質問から
始めていきましょう

式年遷宮って何ですか?

ご質問ありがとうございます

ゆっくりご説明しますので、
どうぞ安心してお聞きくださいね

お急ぎの方は、「目次」から
ご希望の質問に進んでいただけますよ

それでは、
まずは神宮の中心といえる
最も尊い場所をご紹介します

こちらは
太陽にも例えられる
天照大御神あまてらすおおみかみ
おまつりするお宮です

皇大神宮こうたいじんぐう内宮ないくう正宮

ご神体は、
三種の神器の
一つである八咫鏡やたのかがみです

式年遷宮の「遷宮」とは、
お宮を新しく造って
ご神体をうつ
ことを意味しています

お宮をうつ? どこへ?

この大きなお宮を遷すなんて
驚かれるかもしれません
実は…

皇大神宮こうたいじんぐう内宮ないくう正宮

お宮のすぐ隣に
同じ広さの敷地があるのです

そちらに新しいお宮を造り、
神さまには古いお宮から
お引越しいただいています

東の敷地に、新しいお宮を造る

そして「式年」とは
あらかじめ定められた年と
いう意味です

このお引越しは
「20年に一度」
行われています

西の敷地に、新しいお宮を造る

「式年遷宮」は
わが国で最も大きなお祭りで
1300年以上も
続いているのですよ

01ここまでのまとめ

「式年遷宮」とは

20年に一度(式年)
お宮を新しく造って
ご神体うつ(遷宮)

わが国最大の
お祭りのことです

1300年以上もの間
繰り返し行われて
います

三種の神器の一つである八咫鏡やたのかがみ

令和7年より関連のお祭りが始まる
第63回の式年遷宮は、
こちらで詳しく紹介しています

第63回神宮式年遷宮

お祭り?
どう最大なんですか?

神宮では
古くからの伝統にならって
お米の収穫をお祝いする
年ごとのお祭りや

神嘗祭かんなめさい

神さまにお食事をお供えする
毎日のお祭りなど

日別朝夕大御饌祭ひごとあさゆうおおみけさい

たくさんのお祭りを行い、
日本の安泰と、皆さまの幸せをお祈りしてきました

「式年遷宮」もそうした
お祭りのひとつですが、
ほかのお祭りとは
スケールがまったく違います

準備を始めてから終わるまで
なんと8年余り
とても長い時間がかかります

なぜ8年もかかるんですか?

新しくするのは
天照大御神あまてらすおおみかみのお住まいである
内宮ご正宮の社殿だけ
ではありません

外宮のご正宮、14の別宮、
鳥居や宇治橋など
170を超える建物すべてが
建て替えられます

内宮ないくう外宮げくうなど170以上の建物

さらに神さまが
お召しになる衣や、
お使いになる品々も
すべて作り替えられます

お宮の中にしつらられる品や、装身具などがあり、
こうした品々を
御装束神宝おんしょうぞくしんぽう」といいます

御装束神宝おんしょうぞくしんぽう 約1500点

すごい数ですね

本当にすごい数ですよね

しかも、時間がかかる理由は
数の多さだけではないのです

たとえば社殿を造るには、
山から1万本もの木を
切り出して運びます

それを熟練の宮大工が
柱や板など約10万点に
および、丁寧に手間をかけて捧げる品々にしていきます

社殿を造る木を準備する

木と木を
まるでパズルのように
ぴったりと組み合わせて
建てるため、すべて
細かい手作業で行われます

さらに、神さまの衣も
丁寧に仕立てられています

生糸を植物の染料で染め、
昔ながらの機織り機で
織られているんですよ

神さまの衣を仕立てる

すべて手作業?

もっと早くできる方法が
ありそうですが

式年遷宮がはじまった
1300年前のやり方のまま、
職人が真心をこめて
作ることで日本の伝統文化が守られてきたのです

もちろん日本での
ライフスタイルが変化して、
素材確保など
さまざまな苦労があります

入手困難な
素材

後継者の不足

古い資料

伝統文化が途切れるのでは
ないかという危機的状況が
何度もありました…

そのたびに
試行錯誤しながらも
受け継がれてきたのは、
まさに
「神さまへのお祭り」が
あるからではないでしょうか

02ここまでのまとめ

式年遷宮は準備から
完了までに8年余り

内宮ないくう外宮げくうの社殿を
はじめ、神さまの
衣などの品々も
すべて新しくします

1300年前の
神さまへのお祭りを
行うことで、

日本の伝統文化が
受け継がれてきました

式年遷宮の
見どころは何ですか?

まずは新旧2つの社殿
でしょうか

東西に並ぶ新旧の社殿

東西の敷地に
古い社殿と
新しい社殿が並ぶのは、
20年に一度しかない
貴重な光景です

ヒノキの香りも良いですよ

遷宮関連のお祭りも
見どころのひとつです

約30のお祭り・行事

式年遷宮が始まることを
お知らせするお祭りや、
新しい社殿を
建てるお祭りなど
節目ごとに行われます

参道からご覧いただける
お祭りもあります

特に、
伊勢市民が中心となって
ご神木を運ぶ伝統行事は
色とりどりの衣装が華やかで

「エンヤー」の掛け声と
木遣り唄が響いて
伊勢に笑顔と活気が
あふれます

御木曳行事おきひきぎょうじ川曳かわびき

見ているだけでも
参加しているかのような
一体感を感じていただける
お祭りでおすすめですよ

わっ、急に真っ暗に…
これは何ですか?

式年遷宮のクライマックスは
清らかな闇の中で行われる
神さまのお引越しです

遷御せんぎょ

神さまのお姿が
人目に触れないよう
白い絹の布で隠し、
厳かに行われます

一般の方は直接
ご覧いただけませんが、
儀式が終わったあとに
一部の様子を映像で
ご紹介できると思います

布以外にも色々
持ってますよね?

うちわのような物とか

手に持っているのは
神さまがお召しになる衣や
品などの「御装束神宝おんしょうぞくしんぽう」です

かなり重い物もあります

うちわのような物は
大切な神宝のひとつで、
全長4メートルもあるのですよ

羅紫御翳らのむらさきのおんさしは

落とさないよう慎重に
お運びするので、
私たち神職が本当に
緊張する瞬間です

映像をよく見たら
手がプルプルしてる
かもですね笑

03ここまでのまとめ

見どころの1つは
新旧の社殿が並ぶ光景

約30の関連のお祭りが
行われ、参道から
ご覧いただける
ものもあります

クライマックスは
神様のお引越し
遷御せんぎょ

清らかな闇の中
厳かに執り行われます

お祭りの主な流れ

御神木のお祭り

御木曳行事おきひきぎょうじ」が
行われるのはこの期間

2年間お祭りの数10

社殿建築のお祭り

新しい社殿は
白布で覆われています

5年間お祭りの数14

うつのお祭り

伊勢全体が
最も盛り上がるのが
この時期です

1年間お祭りの数9

第63回のスケジュールは
こちらで詳しく紹介しています

第63回神宮式年遷宮

なぜ20年に一度
神さまがお引越し
するのですか?

不思議ですよね
歴史を遡ってみましょうか

式年遷宮は今から
1300年前の飛鳥時代、
天武天皇の
強いお望みにより、
次の持統天皇の御代に
第一回が行われています

古い書物には
「20年に一度造り替えよ」
という記録が残って
いますが、なぜ20年なのかは
わかっていないのです

社殿が木造で
傷んでしまうから?

社殿の尊厳を
保つため?

伝統技術を
受け継ぐため?

人生の
ひと区切り?

そうですね
いろいろ推測されてきましたが定説はありません

それにしても
立派な社殿ですね

神宮の社殿は
神明造しんめいづくりという建て方です

弥生時代にお米を貯蔵した
高床式倉庫に
起源を持つと言われています

神明造しんめいづくりの社殿

式年遷宮が
はじまった当時は
この建て方が
主流だったのですか?

いいえ、飛鳥時代には
もっと高い技術が
ありましたが、あえて古来の建築様式にしたようです

天照大御神あまてらすおおみかみから
稲をいただいて、日本は
稲作を中心として
国作りをしてきたという
歴史があります

つまり神宮の社殿は
天照大御神が住まわれる
宮殿として、
日本のはじまりを象徴し、
それを永遠に伝える役割を担っているともいえます

世界にはパルテノン神殿や
ピラミッドといった
有名な建造物がありますよね

石造りの建造物

ああ、どちらも
すごい建物ですよね

耐久性があるはずの
石造りの建物は
遺跡となって
風化していきます

しかし木で作られた
神宮の社殿は古い形を
保ったまま、20年に一度
建て替えることで
いつもみずみずしい姿を
見せています

毎年たくさんの参拝者を
お迎えしている神宮は
決して過去の遺跡では
ありません

何よりも大切なことは
神さまのお祭りが行われて、
古代からの人々の思いや技が
受け継がれることに
大きな意味があるのです

04ここまでのまとめ

飛鳥時代にはじまった
式年遷宮

社殿は神さまの宮殿、
日本のはじまりを
象徴する伝統的な
建築様式「神明造しんめいづくり
で造られています

あえて
建て替えを繰り返して
神さまへのお祭りを
行うことから、

古代からの人々の心と技が
受け継がれ、それを永遠に
伝える役割を担っています

なぜ20年に一度なのかは記録がなく、
わかっていません

古い社殿は
どうなるんですか?

古い社殿は解体後、
地震などで被害を受けた
全国の神社に
移築されたりして
再び大切に使われます

こうした自然と共にある
お祭りが行われている、
いわば “サステナブル”な
考え方が神宮では古くから
受け継がれてきました

変化の早いこの時代で、
「変える」のは
たやすいですが、
「変えないで適応していく」
お祭りが行われています

皆さまがこうして
関心を持ってくださることで、この伝統が未来へと
つながっていくのです

本当にありがたいことです

式年遷宮は
古から続く循環型システム

循環
めぐる
環境
木を植え育てる
古から 現代
未来へ
つながる
リサイクル
感謝
実り
真心
自然と共に

さあ、私から
式年遷宮についての
お話はここまでとなります

長い歴史のある
お祭りなので、
少しお話が長くなってしまいましたが…いかがでしたか

では最後に、第63回式年遷宮についてご案内しますね

第63回の式年遷宮は
令和15年に神さまのお引越し、
遷御せんぎょ」が行われます
関連のお祭りは令和7年から
はじまります

こちらで詳しく紹介していますので
よろしければ、ぜひご覧ください

第六十三回神宮式年遷宮 20年に一度、天照大御神に新宮へお遷りいただくわが国最大のお祭りが始まります

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