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神宮の神話(神宮のなりたち)

天岩戸神話
天照大御神の弟神である素戔嗚尊は、高天原[1]の天照大御神を訪ねました。天照大御神は荒々しい性格の弟にその忠誠心を問いただしたところ、素戔嗚尊は、高天原にある水田の畔と溝を壊し、春の種まきや秋の収穫を妨げ、また天照大御神の神聖な御殿を汚し、さらに布を織る機屋に皮をはいだ馬をなげこむなど、乱暴の限りを尽しました。
そのため、天照大御神は天岩戸の中にこもられると、世界は光を失いさまざまな災いがおこりました。
- [1]高天原とは『古事記』などの日本神話で天津神が住む天上界をさします。
そこで高天原の神々は相談の末、太玉命が八咫鏡[2]と八坂瓊勾玉を榊にかけ、天児屋命が祈りを捧げました。そして天鈿女命が神楽を舞うと、鶏が鳴き出し、面白い舞を見て神々がどっと笑い声をあげました。そのどよめきを聞かれた天照大御神は、岩戸を少しお開きになると、そのお姿が八咫鏡に写りました。鏡に写る自分の姿を貴い神だと思った天照大御神は、その姿をもっとよく見ようとした時、隠れていた手力雄神がぐっと岩戸を押し開き、世界は再び光と秩序を取り戻すことができたといいます。
- [2]八咫鏡とは天照大御神から皇孫に授けられた神鏡。八坂瓊勾玉、草薙剣をあわせて三種の神器と称し、皇位の御璽とされます。
これは万物に光明をもたらす太陽にも例えられる天照大御神の偉大なご神徳をなぞらえた物語です。
天孫降臨
天照大御神は御孫の瓊瓊杵尊を降して、この葦原中国を治めさせようとされました。その際に瓊瓊杵尊は大御神から八咫鏡・草薙剣・八坂瓊勾玉を賜りました。これは三種の神器と称され、皇位のみしるしとして代々伝えられることになります。
瓊瓊杵尊は猿田彦神を先導として八百万神を従え、高天原から天の八重棚雲を押し分けて九州日向の高千穂の峰に天降られたといいます。
また瓊瓊杵尊は、天照大御神から天上の清らかな稲を地上で作るように託されました。
日本は昔から「豊葦原瑞穂国」といわれます。これは豊かな収穫の続く、みずみずしい稲のできるすばらしい国という意味です。
また、このとき天照大御神は瓊瓊杵尊に「この国は天地と共に永遠である」との祝福のお言葉を仰せ下されました。このお言葉は「天壌無窮の神勅」といわれ、皇室と日本の限りない隆昌をことほぐ言葉として、長く国民の信念を培ってきました。これは神代の昔からつづく皇室をいただく日本国の原点を象徴する名言といえます。
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「斎庭の稲穂」今野可啓 神宮農業館蔵 -
「天孫降臨」狩野探道 神宮徴古館蔵









