皇大神宮（内宮）宇治橋うじばし・五十鈴川いすずがわ

宇治橋は本来、傷みがひどい際に修繕や架け替えを行っていましたが、明治22年（1889）第56回式年遷宮から遷宮に合わせて20年に一度架け替えられるようになり、今の宇治橋は平成21年11月3日に渡始式が行われました。宇治橋の架け替えは遷御の4年前。それは戦後の混乱によって第59回式年遷宮が昭和28年（1953）に延期された際に、全国の崇敬者からせめて予定していた年（昭和24年）に、宇治橋だけでも新しくしようとの熱意によって、昭和24年に架け替えられ、以来、遷御の4年前に宇治橋渡始式が行われています。

宇治橋の外と内に高さ7.44mの大鳥居が立っていますが、内側の鳥居は、内宮の旧正殿の棟持柱むなもちばしらが、外側の鳥居は外宮の旧正殿の棟持柱が用いられています。さらに20年たつと、内側の鳥居は鈴鹿峠のふもとの「関の追分せきのおいわけ[1]」、外側の鳥居は桑名の「七里の渡ししちりのわたし[2]」の鳥居となり、正殿の棟持柱となって以来、60年のお勤めを果たしています。

• [1]関の追分とは現在の三重県亀山市。東海道と伊勢別街道が分かれる関宿せきじゅくは、伊勢国いせのくにの入口とされていました。
• [2]七里の渡しとは現在の三重県桑名市。伊勢国の東の玄関口として位置付けられ、天明年間に神宮の「一の鳥居」が建てられました。

五十鈴川は、「御裳濯川みもすそがわ」とも呼ばれ、倭姫命やまとひめのみことが御裳のすそを濯いだことから名付けられたと伝えられます。神路山を水源とする神路川と、島路山を源とする島路川の二つの流れが、合流して五十鈴川となります。

御手洗場の流れは清らか。内宮参道の右手のゆるやかな斜面を下りていくと、元禄5年(1692)徳川綱吉の生母、桂昌院けいしょういんが寄進したといわれる石畳を敷き詰めた御手洗場が見え、ここでは手水舎と同じように手を濯ぐことができます。昔ながらに五十鈴川の澄んだ流れで身も心も清めてからお参りしましょう。