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式年遷宮の思想

二十年に一度、
式年遷宮という営みとその意義
式年遷宮の「式年」とは定められた年を、「遷宮」とは宮を遷すことを意味します。式年遷宮は20年に一度、東と西に並ぶ宮処を改めて、古例のままにご社殿や御装束神宝をはじめ全てを新しくして、大御神にお遷りいただくお祭りです。
この制度は約1300年前、天武天皇のご宿願により始まり、持統天皇4年(690)に第1回が行われ、平成25年には62回目の遷宮が行われました。
内宮外宮の正宮を始め14所の別宮や宇治橋なども造り替えられる式年遷宮は、「皇家第一の重事、神宮無双の大営」とも称される日本で最大のお祭りです。
繰り返される永遠の祈り
20年に一度式年遷宮を行うことは、『皇太神宮儀式帳[1]』に「常に二十箇年を限りて一度、新宮に遷し奉る」、『延喜式[2]』に「凡太神宮は廿年に一度、正殿宝殿及び外幣殿を造り替えよ」と記載があります。しかし、その理由についてはいずれの書籍にも記載がなく、これまで様々な理由が推定されてきました。
- [1]皇太神宮儀式帳とは延暦23年(804)大中臣真継らが神祇官に提出した上申文書。祭儀、鎮座の由来などについて記した重要な神宮資料です。
- [2]延喜式とは平安時代中期に編纂された古代法典。巻四には神宮のことが記されています。
結果的にみると、20年に一度行われてきたことが、神明造という建築技術や御装束神宝などの調度品を現在に伝えることができ、今でもいつでも新しく、いつまでも変わらない姿を望むことができます。これにより神と人、そして国家に永遠を目指したと考えられます。
御装束神宝について
式年遷宮では20年に一度社殿を造営すると共に、御装束神宝も新しく調製して大御神に捧げられ、その種類は714種、1576点にのぼります。御装束神宝は、御装束と神宝に別けられます。御装束とは殿上や庭上を飾りたてる物をさし、大御神の衣服及びそれに関係する服飾品などがあります。神宝は殿内に奉安する調度品をさし、紡績具、武具、馬具、楽器、文具、日常用具があります。
20年に一度の御装束神宝の調製は、白鳳・奈良・平安時代の文化様式が垣間見られ、当時使用されていた品々の名称や形状、材質や用途、そして技法が確実に次代へと継承され、現在でもそのまま再現されています。御装束神宝は「現代の正倉院」とも讃えられ、文化伝統の保持育成にも非常に大きな意義があります。
尚、大御神が20年お使いになられた御装束神宝の調製工程品はせんぐう館で見ることができます。
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せんぐう館の展示風景
鶴斑毛御彫馬(つるぶちげのおんえりうま) -
せんぐう館の展示風景
写真手前は菅御笠(すげのおんかさ)



